不登校から東大、そして引きこもりへ

それなりに色々あった人生を振り返っていきます

 私には何年も繰り返し見る夢がある。

 

夢の中の私は高校3年生。

もうすぐ入試を控えている状況だ。

 

実際の過去と違うのは、

夢の中の私の学力は、その夢を見ている現在のものということ。

 

時が経てば経つほどに、当然受験勉強の知識は消えていく。

繰り返し繰り返し、夢の中の私は絶望に打ちのめされ続ける。

 

現役当時はあれほど圧倒的な自信のあった英語、国語、歴史も、

今では見る影もない。

 

もちろん受験勉強は一時的な「手段」に過ぎず、

試験へ合格できる状態を維持することに何の意味もない。

 

大学合格後は「勉強」から「学問」へ切り替わり、

知識の暗記というよりは、「作法」を学ぶことになるからだ。

 

しかし、私は東大へ合格したは良いものの、

学問という世界で大きな挫折感を味わった。

 

「受験勉強」が得意だっただけの地方の無名高校出身の孤独な貧乏学生は、

学力も上で経済的な背景もはるかに上を行く名門高校出身者たちの群れになじむことすらできなかった。

 

大学で得たものは「学歴」という見せかけの称号だけで、

内実はただただ自信と希望を失っただけだった。

 

 

かつての私は、

いつまでも「センター試験で何点取った」という話をする人間を内心見下していた。

 

しかしながら結局のところ、

私こそが、「受験勉強で好成績を上げたことで得た自尊心」に何年も何年も執着し、

その唯一のよりどころが消滅しかけている事実に怯え、苦しむことになるのであった。

 

 

16歳で1年間不登校となり、高校1年生を2度経験した私にとって、

「東大に現役合格しさえすれば、この1年が取り戻せるはずだ」という思い込みは強く、受験期には支えにもなった。

空白の1年間に大きな引け目を感じていた当時の私にとって、他の選択肢はなかった。

 

ただ今は思う。

あの時、別の大学を選んでいればどうなっていただろうか、

少しは人生に希望を抱けていたのだろうか、と。

 

そしてまた夢の中で高校3年生を繰り返すのであった。